家庭用のポストに、不良品回収のチラシが入っているケースがあります。チラシには「無料回収」「なんでも回収」など、魅力的な言葉が目立つかもしれません。しかし、広告主である業者に連絡を取ることに危険はないのでしょうか。
ここでは、不用品の処分を検討中の人に向け、不用品回収チラシの安全性について解説します。チラシに頼らない不用品の処分方法も紹介するため、処分の際は参考にしてください。
不用品回収のチラシを配っている業者は何者なのか?
不用品回収のチラシを配っていることを理由に、一概に違法な業者であるとは言えません。地元密着型の小規模な回収業者のなかには、チラシの配布と並行し、Webサイトでも宣伝を行っている企業もあるためです。
ただし、チラシの内容によっては違法業者であるケースもあります。特に「無料回収」、「なんでも回収」などの記載がある場合は要注意です。
不用品の無料回収、無差別回収が違法の可能性が高い理由は?
無料回収・無差別回収という文言が、違法業者を見分けるキーワードとなる理由について解説します。
無料回収ができない不用品の例
特定家電4品目に該当する家電製品は、無料で回収できません。特定家電4品目の回収には、回収料金とリサイクル料金が必要です。したがって、どのような不用品も回収できるとアピールする業者は違法業者の可能性があります。
なお、特定家電4品目には、下記が該当します。
- エアコン
- テレビ(ブラウン管、液晶・プラズマ)
- 冷蔵庫・冷凍庫
- 洗濯機・衣類乾燥機
※参考:家電4品目の「正しい処分」早わかり!その家電、きちんと捨てないと…|経済産業省
自治体や不用品回収業者でも回収できない不用品の例
本来であれば、不用品回収業者や自治体が回収できない不用品は多々あります。たとえばタイヤは、タイヤ販売店などに決められた料金を支払ったうえで、処分を依頼しなければなりません。ほかにも消火器は、処分を検討する本人が消火器リサイクル推進センターに引き取りを依頼し、リサイクルシールを購入して処分します。
薬品や医療器具、中身の入ったスプレー缶やペンキの缶、盗品なども、特別な処分方法が求められます。内容にこだわらず、なんでも処分できると断言する業者は避けましょう。
無料で不用品を回収できる業者もある!
リサイクル業者や輸出業者であれば、無料で不用品を回収してもらえる可能性があります。無料回収が、商売として成り立つ理由を解説します。
リサイクル業者
リサイクル業者は、回収した家具や家電を手入れし、販売することで差益を得ています。ほかにも、国の認定を受けた小型家電回収業者であれば、機体内の貴金属を回収できることに加え、整備したのちに中古品として販売することもできます。
輸出業者
海外では日本製品が人気です。しかし国内では、デザインに飽きた家具、新しいモデルが出た家電などは、まだ使える場合でも買い替えの対象となる場合があります。輸出業者が儲かるのは、国内で不要になった家具家電を無料で仕入れ、海外で販売できるためです。
違法な不用品回収業者による問題
違法な不用品回収業者により、社会的な問題が起きています。具体的な問題を3つ紹介します。
不法投棄問題
違法業者は、回収後にお金にならないものを、河川敷や山林などに不法投棄する可能性があります。各自治体は不法投棄を監視し、万が一投棄されたものを見つければ、処分費用を負担し片付けます。違法業者に依頼するだけでは、不法投棄の罪には問われません。ただし、犯罪の片棒を担ぐことになってしまいます。
廃棄物処理法の違反
不用品を処理するには、処分するものに応じた許可が必要です。廃棄物処理法によると、家庭から出た不用品は「産業廃棄物処理業の許可」では処分できません。家庭からの不用品を処分できるのは「一般廃棄物処理業の許可」をもつ業者のみです。
家電リサイクル法の違反
違法業者では、家電リサイクル法に該当するものを不適切な方法で処分しがちです。環境に配慮した方法で処分がなされなければ、人体や周辺環境に悪影響を及ぼす物質やガスが発生し、環境破壊につながってしまいます。ときには、火災のような事故の原因にもなります。
違法な不用品回収業者によるトラブルとは?
違法な不用品回収業者に依頼したことで、トラブルに巻き込まれた人もいます。トラブルの具体的な状況を紹介します。
高額な支払いを請求される
不用品回収のチラシや見積り書に「無料」と書いてあったとしても、支払いを要求されるケースがあります。追加料金を支払わなければ積み込みや運搬などを行わないと言われ、相場よりも高額な費用を請求されてしまいます。
不用品回収業者にぼったくられた事例や、ぼったくり被害を未然に防ぐ方法については、こちらの記事も参考にしてください。
不用品回収業者にぼったくられた事例集|ぼったくり被害を未然に防ぐ方法とは?
支払いを拒否すると恐喝される
違法な不用品回収業者に報酬を支払いたくなくても、恐喝された結果、やむを得ずお金を渡してしまうケースもあります。具体的には、支払わないと訴える、銀行でお金を下ろすように脅されるなどが報告されています。しかも、見積り書などの証拠がなければ相手を訴えることが困難です。
不法投棄に対応する羽目になる
不法投棄を見つけた行政からの通達を受け、廃棄場所から不用品を引き取る羽目になったという人もいます。また、所有する土地に不法投棄された場合は、身に覚えがなくても自身で引き取って処分しなければなりません。
違法な不用品回収業者の見分け方は?
違法な不用品回収業者からの被害を避けるために、チラシの内容や不用品回収車両に注目しましょう。違法な不用品回収業者の見分け方を紹介します。
許可の種類を確認
不用品回収にかかわる許可証にはあらゆる種類があり、違法業者の見極めに役立ちます。まずは「一般廃棄物収集運搬業の許可」の有無を確認しましょう。
一般廃棄物収集運搬業の許可とは、家庭から出る不用品の回収が可能なことを示す許可証です。一方で「産業廃棄物収集運搬業の許可」では、企業や工場から出る廃棄物のみを回収でき、一般廃棄物収集運搬業の許可よりも取得が困難です。また、不用品の買取・転売を依頼するには、「古物商許可」を所持する業者を選ぶ必要があります。
業者の名前や所在地、連絡先を確認
不用品回収のチラシや見積り書に屋号や団体名が記載されていたとしても、法人名の有無を調べてください。また、公式Webサイトがあるか、固定電話があるかも営業状態を確認するためのポイントになります。
業者の公式Webサイトを見つけたら、経歴や実績を確認しましょう。また、公式のWebサイト以外の情報も調べてください。実績が多ければ、公式Webサイト以外でも口コミが見つかるケースが多く、依頼者目線で仕事ぶりをチェックできます。
回収車両の車体を確認
一般的な不用品回収車両には、宣伝効果も兼ねて社名や連絡先が書かれています。記載が見られなければ、違法業者の可能性を疑いましょう。加えて、多くの回収車両には、一般廃棄物収集運搬業の許可番号も掲載されています。
宣伝内容や状況を確認
前述のとおり、無料回収・なんでも回収などをアピールする業者には気をつけましょう。そもそも、家庭の不用品を無料回収・無差別回収のできる業者はごくわずかです。チラシを配布する以外にも、住宅街をスピーカーで宣伝して回る業者も、違法業者の可能性があります。
納得のいく見積りを提示できるか確認
見積り書からも、違法業者を見分けられます。まず、現場をもとに見積りを出してもらうために、出張見積り可能な業者に連絡を取りましょう。見積り書では、具体的なプランと料金を確認します。不明点があれば問い合わせ、追加料金が発生する事例、プランが適応されない事例なども聞いておくと、想定外の出費を避けられます。