
葬儀や法要と違い、これといった期日が決まっていないのが遺品整理です。いつから遺品整理を始めて、いつまでに何を終わらせればよいのでしょうか。この記事では一軒家や賃貸物件などの具体的な事例も交えながら、遺品整理の時期やコツを解説します。遺品整理のタイミングや手順のポイントを知って、故人の遺志に叶った、ご遺族の負担が少ない遺品整理をしていきましょう。
そもそも遺品整理とは?
遺品整理とは、親族や身内がなくなった際にその人が使っていたものを整理し、相続や形見分け、処分などを行うことです。遺品処理、遺品処分とも呼ばれます。
遺品整理は土地や家、車などから日頃使っていた万年筆、貴金属など広範囲に及びます。また、手紙やアルバムなどの第三者からは値段が付けられないものも対象です。近年ではデジタル写真やSNSアカウントなどの「デジタル遺品」も遺品として扱われるようになりました。
遺品整理はいつからでも大丈夫
遺品整理は法律上「いつまでにしなければならない」という決まりはありません。
ただし、預貯金や有価証券、不動産、貴金属など相続税の対象となるものは、納税期限があります。また、医療保険や年金、借金なども、早めに手続きを早めにするべきです。
賃貸契約もそのままにしておけば家賃がかかります。また、社宅や公営住宅、高齢者施設などでは、退去期限が決まっていることがあるので注意が必要です。
親族が集まれる日時の都合を計画しておき、余裕を持って適切なタイミングで遺品整理をしていきましょう。
遺品整理を長引かせると生じるリスク
遺品整理を長引かせると、心身に負担がかかり金銭的な負担も大きくなるリスクがあります。
親しい人が亡くなったことで精神的に落ち込むなどして、遺産整理を放置してしまう人がいます。しかし、先延ばしにすると、遺品を捨てられなくなったり、整理が面倒になったりしてしまう人も少なくありません。
また、忙しいので少しずつ遺品整理を進めようとして、家賃や故人の家への交通費など追加費用が発生してしまうこともあります。
遺品整理を始める際には、計画的に終わらせましょう。特に使用する予定がないものは、早めに処分しておくことが重要です。
遺品整理はいつから?|4つのタイミング
遺品整理を始めるタイミングはいつがよいのでしょうか。ここでは四十九日法要後、葬儀直後、さまざまな手続きの完了後、10カ月以内の4つを解説します。
タイミング1.四十九日法要後
命日から数えて49日目の日の「四十九日」を目安に遺品整理を行う人は多くいます。仏教において故人の来世での行先が決まり、魂が次の世へ旅立ったということで、遺品整理をしやすくなるからでしょう。
四十九日法要は親族や関係者が集まる日でもあり、このタイミングで形見分けを行いやすいメリットもあります。
タイミング2.葬儀直後
葬儀直後は遺品整理にスピードが要求される場合に向いています。相続権がある親族が集まるため、相続に関係した遺産整理を話し合って決められます。また、賃貸物件に住んでいた場合は、大勢で片づけを行い、形見分けや不要なものの処分を手早く行うことも可能です。
ただ、前もって段取りを伝えておかなければ、親族や身内の都合が付かないことも少なくありません。
タイミング3.さまざまな手続きの完了後
さまざまな手続きがひと段落してから遺品整理を行うことは、心身に負担が少ない方法の1つです。
葬儀や法要、死亡届の提出、年金・保険金の手続きなど、故人が亡くなった後しばらくは何かと忙しいものです。また、電気・水道・ガスなど公共料金の解約や月額利用料の発生するサービスの解約などもあります。
遺品整理前の手続きを確実に終わらせておきたい人や、じっくり遺産整理に取り組みたい人に向く方法です。
タイミング4.10ヵ月以内
相続税の課税基準日から逆算して遺品整理を進める人もいます。被相続人(故人)が亡くなり相続権が発生してから、10カ月以内に相続の申告書を提出しなければなりません。
申請期間を過ぎると、相続税の控除を受けられなくなり、延滞税を課されてしまう場合もあるので注意が必要です。特に相続する資産が多い場合は、10カ月以内のリミットを意識して遺品整理をスタートさせましょう。
遺品整理はいつから?|一軒家の場合
一軒家の遺品整理では、親族が集まりやすい日を有効に使うことがポイントです。遺品整理の手順と併せて解説します。
一軒家の遺品整理の方法
一軒家での遺品整理は退去の必要がないため比較的、時間の余裕があります。そのため、四十九日や一周忌などの法要で親族が集まる日を選んで計画を進め、できるだけ一気に片づけることがポイントです。
ただし、一軒家は賃貸物件に比べて、一般的に遺品やゴミの量が多くなりがちです。ゴミ袋や手袋などの用意も忘れずにしておくとスムーズに進められるでしょう。
一軒家の遺品整理の手順
ここでは遺品の捜索・分類、形見わけ、遺品の処分と売却という3つの手順に分けて、それぞれのポイントを解説します。
1.遺品の捜索・分類
遺品の捜索・分類のコツは、相続や財産に関わるもの、故人にまつわるもの、再利用または処分を検討するものの3つに分類することです。
相続や財産に関わるものは、納税期限や家賃やサービス料などの支払いに関わるため最優先にします。故人にまつわるものは法要の日などに形見分けするためにまとめておきます。
再利用または処分を検討するものは、作業に取り掛かる前に全体を把握しておきましょう。必要に応じて専門業者を手配できます。
2. 形見わけ
形見わけとは、故人の遺品を思い出として贈呈することです。高価なものは贈与税の対象になるため、原則として送りません。また、マナー上、故人の目上にあたる人にも贈らないことになっています。
遺産分割協議を必ず行い、遺品整理がひと段落した後に行うのが形見分けです。一般的には四十九日後、故人への思いが色あせないうちに行うことになります。
3.遺品の処分と売却
遺品の処分と売却は、物によっていつから始めるか異なります。使わない家具や家電、ゴミなどは不用品回収業者やリサイクルショップを利用して、手早く整理するのも1つの方法です。
貴金属や骨董品など換金性が高いものは、専門の買い取り業者やリサイクルショップに依頼すると高額で買い取ってもらえる可能性があります。ただし、これらは相続や形見分けに関係することがあるため慎重に行いましょう。
遺品整理はいつから?|賃貸物件
家賃の支払いや退去期限がある賃貸物件ではスピーディーな遺品整理が求められます。各手順のポイントとあわせて解説します。
賃貸物件の遺品整理の方法
賃貸物件は引き渡しや退去の期限があるため、この時期から逆算して、できるだけスピーディーに済ませておく必要があります。退去日を越えてしまい家賃が発生することや、粗大ごみの処分日が退去日に間に合わないことなどがないようにしましょう。
金銭面や作業面でネックになる重要な項目、品目から優先的に整理する計画性が重要です。
賃貸物件の遺品整理の手順
ここでは退去日の決定、退去日に合わせた遺品整理の実施、原状回復の流れに沿って、それぞれ手順のポイントを解説します。
1.退去日の決定
故人が不動産会社と交わした賃貸借契約書で退去の際のルールを確認しましょう。解約を申し込んだ場合に退去日や家賃についての取り決めが記載されているはずです。契約書が見つからない場合は不動産会社に問い合わせましょう。
退去日までが短いほど遺品整理の期間に余裕がなくなります。退去日を過ぎると追加の家賃が発生するので注意が必要です。
2.退去日に合わせた遺品整理の実施
退去日に間に合うように遺品整理の計画を立て、遺品整理を進めていきます。スムーズに処分できるように小物金属や粗大ごみ、資源ごみの収集日などを把握しておきましょう。
粗大ごみや家電リサイクル法によってすぐに捨てられないものなどは、自分の家で一旦保管してから整理する方法もあります。
3.原状回復
賃貸契約には賃貸契約前の状態に戻してから返す「原状回復義務」があります。
日常的な生活で発生する汚れや経年劣化などは、敷金を使って賃貸人(大家)がハウスクリーニングを行うので問題ありません。ただ、孤独死やゴミ屋敷化しているなどのケースでは、状況によっては特殊清掃を手配して原状回復させる必要があります。
遺品整理前の注意点
遺品整理を行う前に注意しておきたい、遺言の確認、親族の合意、計画の重要性の3つについて解説します。
エンディングノートや遺言の確認
遺言は法的な効力あるため、非常に重要です。エンディングノート(終活ノート)は法的な効力はありませんが、遺品整理の方針になります。故人の遺志や希望をできるだけ叶えるためにも、何か文章が残されていないか再確認しておきましょう。
近年ではパソコンやスマホ、USBなどのなかにメモが残されていることもあります。
親族の同意
遺品整理の前には親族や身内から同意を得るように心がけましょう。遺品整理を早く完了させたいと焦るあまり、トラブルになることがあります。
特に換金性が高い物品を勝手にリサイクルショップなどに売るなどすると、不信感が生まれます。また、故人の思い出になるものを同意なしに処分すると、取り返しがつかないことにもなりかねません。
遺品整理の計画
遺品整理で重要なことは、「何をいつまでに処分するか」について大まかに決めておくことです。そうすれば、納税期限や退去日などの期日に焦ることなく整理を進められるでしょう。また、公共料金、携帯電話料金など、相続者の金銭的な負担になるものも減らせます。
遺品整理はいつからでも業者に依頼できる
遺品整理を確実に、かつスピーディーに終わらせるには専門業者に依頼するのがよい方法です。どのようなメリット・デメリットがあるのか知っておきましょう。
詳細については、以下の別記事で紹介しています。
【遺品整理業者】お勧めの選び方や料金相場は?利用時の注意点も紹介
業者に依頼するデメリット
遺品整理を請け負っている業者に依頼すると、当然ながら作業費用がかかります。また、相見積もりをする場合には、手間や時間がかかることもあります。見積もりで下見をしてもらう場合はスケジュールを確認しておきましょう。
業者に依頼するメリット
遺品整理を業者に依頼するメリットは、短時間で効率的に遺品整理をしてもらえることです。大量のゴミや不用品をまとめて処分してもらえるうえ、粗大ごみや家電リサイクル法の手続きなども不要です。人手が足りない場合や体力的に重い物を運び出せないなどの場合も、業者に依頼したほうがよいでしょう。
また、業者によっては形見分けの梱包・発送も請け負っているため、親戚が日程を合わせて集まる必要もありません。特に遺品整理士が在籍している業者は信頼でき、迷ったときに相談できる点もメリットです。
まとめ
遺品整理には法律上の決まりはなく、いつから始めてもかまいません。ただし、相続税や賃貸契約などが関係する遺品もあるため、計画性を持って取り組むことが必要です。精神的、身体的に負担を感じるようなら、遺品整理を請け負っている専門業者を利用しましょう。
遺品整理業者の片付け堂は市町村の許認可を得ている専門業者で、故人との大切な思い出の品や遺品をまごころ込めて整理いたします。不用品回収はもちろん、遺品整理士による形見分け、不要品の買取り、特殊清掃まで何でもご相談ください。明快な料金体系でTポイントの還元(100円につき1ポイント)も付きます。